ブレーン・ストーミング法(BS法)


■概要
アレックス・F・オズボーン(Alex F. Asborn)が考案した創造性開発のための技法。一言でいえば、何人かが集まり、あるテーマをめぐって、既成概念にとらわれず、自由奔放にアイデアを出し合う会議形式の一種である。

■目的
①特定問題の解決策を見出す。
②メンバーの題解決能力(創造性)が育つ。
③チームワークの強化。

■ルール
質より量:量が質を生むと考える(数で勝負する。量の中から質の良いものが生まれる。 )
自由奔放:テーマに関係すれば何でもOK (奔放な発想を歓迎し、とっぴな意見でもかまわない)
批判厳禁:批判すると量が減る(どんな意見が出てきても、それを批判してはいけない)
結合改善:他人の意見に便乗して発展する(出てきたアイデアを結合し、改善して、さらに発展させる)

■特徴
①集団の構成メンバーの自由な発想や発言を、最大限に保証しなければならない。
BS法の思考メカニズムは、集団によるアイデアの連鎖反応です。この連想(他人のアイデアが核になって思いがけないイメージへと発展していく想像)をさまざま生み出すためには、それ以前のキッカケ発言・発想がいろいろと必要になります。4つのルールの中1.2.3を、例えていえば、4の役割を担うものです。
②ブレーン・ストーミングの思考の方法である。
BS法は、一つのことを深く考えるとか、論理の一貫性・妥当性を競う等、あるものごとを、討論のように、議論の上で判断するような思考ではありません。むしろ、まだなかったこと、誰も考えついていないような解決の糸口や、新しい商品開発について、文字通りアイデアを発想するための方法論です。制約のない「思考の駆けめぐり」が思考の本質です。思いつく、ひらめく、着装する、発想する、突然の名案といったもののも、多様で多角的、かつ多面的な思考の、自由さの中で生まれるものです。
③ソロ・ブレーン・ストーミングである。
これは、単独での個人でも行うことが可能です。集団を積極的に使うのは、メンバーの持つ知識・経験・情報・イメージの異質性・多岐性が、より多くの異なったアイデアを発想させてくれる期待があるからです。

wpeA.jpg (8677 バイト)

■メンバー
①リーダー(leader) 1名
②セクレタリー(Secretary 書記) 1名
③ブレイン・ストーマー(Brain stormer; アイデアを出す人) 7名~10名
何人が適当であるという決まりはありませんが、会議形式の効果からすると、あまり人数の多いのは適当ではありません。ブレイン・ストーマーのうち半分くらいは、レギュラー・メンバー(CTC;dreative thinking course 創造力開発研修などを受けた人)で残り半分はゲストを迎えるという形式なども効果を上げることが出来ます。

■準備
①ブレイン・ストーミングに適する問題を用意します。
②ストーマーを決めます。
③自分でアイデアを一応出しておき、問題の目的を確認しておきます。
④会場を手落ちなく整えておきます。会議形式の図のように、リーダーを中心にして、机をコの字形に並べ、ストーマーの名前を書いた名札をおきます。出てきたアイデアを書くため壁に大きな紙を沢山貼り、マジックインキを用意します。
⑤はじめての人が出る場合、前日にブレイン・ストーミングのあらましを、話しておきます。

■会場
会場は、アイデアを出しやすいような雰囲気にし、また、出来たアイデアを書くための白紙(模造紙など)や、マジックインクなどを準備しておきます。 セクレタリーは、発言された意見を要領よく書いていきます。もし、アイデアの数が多くて、セクレタリーが書ききれない場合は、リーダーは発言を押さえることなく、セクレタリーの数を増やすようにすると効果的です。

■開催
アイデアの出し方 集団思考の場合は、時間の経過に従ってアイデアの数が多くなっていきますから、はじめにあまり出ないからといって、リーダーは諦めてしまわぬことが大切です。
①会議は1日の前半、あるいは昼食後すぐがいいと言われる。
②時間は15分~1時間位

■リーダーの資格
①創造力開発の研修を受けていることが望ましい
②創造力だけでなく、分析力が人並み以上にすぐれていること
③ユーモアのある人柄であること
④会議指導法になれていること

■注意
①出たアイデアは、壁あるいは、参考図のように黒板にはった紙にNO.をつけ、マジックインキで書き取ります。
②字はストーマーから見える程度の大きさに書きます。
③発言通りでなく、要約します。ストーマーの発言と違うような気がしたら確かめても構いません。
④セクレタリーを2名出し、奇数と偶数とに分けて書き取ってもかまいません。
⑤終わってから、リーダーに協力してアイデアを分類し、プリンとして参加者に配布しす。それによってアイデアを求めます。
⑥後からでたアイデアは別に集めて回ります。

■リーダーの指導点
1)自由で愉快な雰囲気をつくります。必要があればウォーミングアップもします。
2)発言したい人に手をあげさせます。沢山手が上がったら端から順に指名します。
3)手をあげなかった人には指名をして発言させます。
4)参加者の発言を整理してセクレタリーに伝えます。その際、ストーマーとセクレタリーの両方をよく見て、セクレタリーが書き遅れたりしないよう、調節を取って進める必要があります。
5)会議中、批判する人が出たら、それをうまく押さえるようにします。
6)アイデアの流れを妨げぬようにします。同じアイデアが出ても平気で書かせます。
7)他の人のアイデアからの借用や改善結合を奨励します。
8)自分は原則として発言しませんが、アイデアがストップしたときは、誘い水の意味で2つ3つの意見を出します。
9)必要があれば、個人技法も併用します。
10)出たアイデアをセクレタリーと一緒に分類整理し、参加者に配ります。

■手順
① 課題の設定:取り組むべき課題を設定する。
② 役割の決定:リーダーと記録係を決定する。
③ 発散思考:リーダーの指示に従い、次々に、自由奔放に、 アイデア、意見を出し合う。
④ 収束思考:記録をもとに、分類、補足する。
⑤ 発散と収束の繰り返し
⑥ 評価:実現可能性や重要性、効果性などの観点から 出されたアイデアを評価する。
⑦ 具現化:評価後のアイデアの具現化策を考える。

wpeB.jpg (18705 バイト)


応用型
メンバーがブレーン・ストーミングに慣れていないと、発言が片寄ったり、ほとんど発言しない人も出てきます。そういう場合には、次のようなブレーン・ストーミングの変形を利用すると便利です。

■順番方式
各メンバーにメモ用紙を配って、発言する前に、5分か10分位、思いついたことをメモ書きしてもらい、それを順番に発表していく方式。意見の出方が不十分だったら、こういうやり方を何回もくりかえせばよい。
■紙キレ方式
「スリップ・ライティング」ともいう。スリップとは紙キレのことで、要するに、意見を口頭で発表する代わりに、一つひとつの紙キレ(スリップ)に書いていくのである。
■欠点列挙法
後ろ向きのブレーン・ストーミング。テーマとして取り上げたものや事柄について、欠点と思われることを、思いつくままに、自由奔放に列挙していく。問題点を見つけだすのに便利である。

発展型

■カードBS
上記の紙キレ方式が発展し、技法として確立したものが、カードBSです。
カードを使ったブレーン・ストーミングのことをカードBSといいます。ブレーン・ストーミングをするときに、意見を口頭で発表する代わりに、1つ1つ、カードに書いていきます。また、メンバーの全員が一堂に集合しにくいとき、全員にテーマを伝え、記入したカードを回収して、皆の意見を集めるやり方として応用することもできます。
カードBSは、数人のグループではなく、一人で、単独で実施することもできます。これをソロBSといいます。ソロ(1人)によるカードBSは、いつでも、どこでも、好きな時に、好きなテーマで実施できます。オフィスの机上はもちろん、書斎、喫茶店、電車の中でもできます。職場の問題にかぎらず、家庭生活やボランティア活動など、応用範囲も広く、便利な技法です。
■ゴードン法
新製品開発コンサルタントのウィリアム・ゴードンが、ブレーン・ストーミングをヒントにして、新製品開発のための技法として考案したものです。
基本的にはブレーン・ストーミングと似ていますが、次の2点で大きな違いがあります。
一つは、参加メンバーに本当のテーマを知らせないことです。これは、発想を飛躍的に拡げるための工夫によるものです。
もう一つの特徴は、テーマを抽象化して提示することです。これも発想を飛躍的に拡げるための工夫によるものです。
たとえば、新しい缶切りの開発のときは「あける」という抽象的なテーマにします。あるいは、新しいオモチャのときは、「楽しむ」、新しいプロジェクターの開発のときは「説得する」などといった要領です。
参加メンバーは狭い固定観念にとらわれずに自由奔放に発想を飛躍させていき、画期的な新製品開発を成し遂げようとするものです。
■635法・369法
■三菱法
■NHK法
■ロータス(蓮)法、

 

AIDMAの法則
チェックリスト法
BS法
ゴードン法
等価変換法
強制連関法
エコ・デザインの3R
UDの7原則