いつでもどこでも巡業 ver. 1.02 2007

<巡業シリーズ>
普段何気なく眼に映っている日常の景色は、様々なモノたちと人々とが混在し微細に変化しながら常に新たな景色として更新され続けている。
我々は、それを“け-しき” (「け」; 景 / その地と人との造りし"もの"- 「しき」; 色 / "ひと" )と呼び、様々な地で、ビデオ撮影している。
一旦映像として切り取られ記録された景色は、一瞬一瞬の半透明な画像の重なりにより、"ひと"は潜像となって霧散し、"もの"だけが 「動きの景色」 として浮かび上がる。
薄らとしたざらつきを持った質量の重い煙のような不気味なコード化できないそれ(画像空間)は、生成し続けながらも固有の顔/名前をもった「風景そのもの」として立ち上がり新たな世界を見せ始める。


<ver.1.02>
展示会場である名古屋伏見の繊維街を中心に撮影した景色を “動きの景色”として一台のモニターに、 高速移動する自動車に設置したカメラで撮った景色を高速道路ヴァージョン、下道ヴァージョンの “ビデオドローイング”として2台のモニター、計三台のモニターに映し出す映像インスタレーション作品。
<素材> 47inchモニター×3台・HDVレコーダー・ラジオ・トランスミッター・原寸大極楽ブラザーズ平面人形・縮尺1/20極楽ブラザーズ平面人形・カーペット・クション他

<ビデオドローイング1 > 名古屋阪神高速、栄〜伏見一般道
高速移動する自動車の中にカメラを固定し撮影した景色をプログラム処理し(ある一定時間のフレームを同じ透明度で重ねた動画)、創出してできた動画。
相対速度の差から生まれた動く風景はもはや“動きの景色”ではなく、景としての形をとどめず色だけが流れ出した無数の線の集積動画となった。
この画像を私たちは “ビデオドローイング” と呼び、その第一作目である。
<素材> 47inchモニター  *自動車のフロントガラス前に縮尺1/20極楽ブラザーズ平面人形を固定して撮影