巡業 ver. 2.20 ~ 記録としての「け-しき」  2009

<巡業シリーズ>
普段何気なく眼に映っている日常の景色は、様々なモノたちと人々とが混在し微細に変化しながら常に新たな景色として更新され続けている。
我々は、それを“け-しき” (「け」; 景 / その地と人との造りし"もの"- 「しき」; 色 / "ひと" )と呼び、様々な地で、ビデオ撮影している。
一旦映像として切り取られ記録された景色は、一瞬一瞬の半透明な画像の重なりにより、"ひと"は潜像となって霧散し、"もの"だけが 「動きの景色」 として浮かび上がる。
薄らとしたざらつきを持った質量の重い煙のような不気味なコード化できないそれ(画像空間)は、生成し続けながらも固有の顔/名前をもった「風景そのもの」として立ち上がり新たな世界を見せ始める。


<ver.2.20>
基本的には「巡業ver.0.8」と同様に、プログラム処理編集により創出された “動きの景色”を映し出すモニター1台と、9つのシーン(巡業先)のライトボックスから成る。
ライトボックスは映像から切り出し印刷したものと、それを水彩絵の具で模写したものとがレンチキュラーシートを通して見えるようになっている。
省略されるディティール、置き換わる色彩など、人の手を介しメディアが変わることで風景がより”記憶”に近づいていく。
<素材> 47inchモニター×1台・HDVレコーダー・ラジオ・トランスミッター・ライトボックス×9個・原寸大極楽ブラザーズ平面人形・カーペット・クション他